2009年01月29日

めずらしい人生


KANのベストアルバム。1992年リリースだから、もう17年も前になるのか。僕も年をとるわけだ。

思うにKANは、「愛は勝つ」で売れてしまったのが最大の不運だと思う。当時200万枚も売れてしまったから、当然この曲のイメージがついてしまった。結果として、手放しで「愛は勝つ」なんて言ってしまえるようなノーテンキなやつと思われてしまった。

しかし実際のKANはちがう。

他の曲やテレビラジオ等での発言を聞けばわかるが、この男、相当のヒネクレモノである。かなりのクセモノである。同時にお調子者である。

アルバムの中から一曲紹介。

めずらしい人生

詞・曲 KAN


レレレレドシラシドシラ
この音階に根拠なんかなくて
目的もあやふやで秘密もない

はじめて舞台に立った5才のぼくは
さるかにの猿で
木のぼりの演技で父兄にうける

すばらしい人生 18までのぼくは
何も考えずにだいたいうまくいった

めずらしい人生 今うたをうたってる
あれほど逃げまわっていたピアノを弾きながら

「あのね、うんとね」とうたってたわりに
ぼくは考えすぎてた
この頃から 言葉づかいがかわる

すばらしい人生 ぼくは君と出会った
何を犠牲にしても欲しいと思った
めずらしい人生 ぼくは父を亡くした
愛しい君の誕生日を祝ってた夜に

君のために死ぬつもりはない
君なしでうたう勇気もないうちは
ただのピアノ弾きなのか

こうしてぼくは20代を
悩みすぎて ややこしく生きた
だけど答えなんかはまだでない

すばらしい人生 今うたをうたってる
そして多くの人々が泣き笑う
めずらしい人生 そんな多くの人を
裏切らないとぼくの明日はないのも知っている

すばらしい人生 ぼくは君と出会った
決して徴や結果は求めない
おわりある人生 一番大切なことは
愛する人に愛されてるかどうかということだ




自伝的な歌だが、自分のファンに対して『そんな多くの人を裏切らないとぼくの明日はないのも知っている』と言い捨ててしまうところがすごい。

また彼は、『一番大切なことは愛する人に愛されてるかどうかということだ』と断言する。ラブソングにあるまじき歌詞。だが真実を含んでいる。

結局彼の歌はどうしてもこうなってしまう。どんなラブソングをつくったって、彼の地の性格、ひねくれた部分がにじみ出てしまう。それが彼独特の個性となって聴く側にせまってくる。

彼のつくるメロディも独特である。僕はずっと、洋楽に日本語詞をつけてカバーしているのだと思っていた。それまで日本に存在しないメロディだったのである。ようはビリー・ジョエルスティービー・ワンダーの強い影響を受けている、さらにいえば「パクリ(パロディ?)」なのだが、日本のポップスなんてほとんどすべて洋楽のパクリだからそのへんは突っ込まない。

歌詞のとおり、「多くの人を裏切った」せいか知らないが、KANはやがてヒットチャートから消えていった。でも彼は表舞台にしがみつこうとはしなかったように見えるし、あえて自ら身をひいたようにも見える。

その後の彼と言えば語学留学したり、気が向いたらアルバムを出してみたり、風変わりなライブをしてみたり、かと思えばフランスに移住してみたり、商業主義に振り回されることもなく自由気ままである。悠々自適である。

やりたいことしかやらない、作りたい歌しか作らない。決して自分のペースを崩さない。実際のところどうかわからないが、はたから見ててうらやましく思う。

プロのミュージシャンの中には、KANのコアなファンがけっこう多い。Mr.Childrenの桜井和寿、aikoなど。特に桜井和寿は、昔いっしょにラジオをやっていたせいもあるのか、歌詞・メロディ共にKANの影響がかなり濃い。聴くとわかる。

KANは90年代・00年代の日本ポップスに変革をもたらした影の立役者だと僕は思っている。

posted by にあごのすけ at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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