2008年07月26日

ブロークン・フラワーズ

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ブロークン・フラワーズ
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ビル・マーレイ
05年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作

金持ちだけれど孤独な壮年男のもとに、ある日ピンクの便箋に書かれた手紙が届く。「あなたと別れて20年、あなたの息子はもうすぐ19歳になります」。そして主人公は、自分の息子をさがす旅に出る。過去につきあった女たちのもとを順番に尋ねていくのだ。

僕にとっては(というか男という生物にとっては)身につまされる話である。ともかく、あとは匂わせぶりなシーンがえんえんと続く。おっ、この女こそそうなのか!?と思わせておいて実はちがう。おっ、この少年こそ息子!?と思いきや何も起こらない。旅先で新しく出会った女とロマンスが始まるかと思いきや、やっぱり何も起こらない。

どこまで行ってもオチはない。ストーリーもない。しかしよくよく考えてみれば、実際の人生なんてそんなものだ。一貫したストーリーなどあるはずもなく、無関係な出来事がバラバラに起こってはすぎ去っていく。人間失格の葉蔵ではないけれど、「ただ、いっさいは過ぎていきます」。それが人生である。

そう思って見るとき、この映画は単なる「お話」の域を飛び出し、ほとんど肉迫的に見る側にせまってくる。

思えば「ストーリー」と呼ばれるものたちの、なんと胡散臭いことか。成り上がり社長が自慢げに語る自らのサクセスストーリー、「この映画は実話に基づいています」とわざわざ断わってから始まる感動映画、どれも胡散臭い。現実を「ストーリー」に仕立てた段階で抜け落ちていく事柄は無数にあるはずで、そうしたほんの些細な哀しみ、取るに足らない喜び、実はそこにこそ、人間、そして生きることのの愛しさがあるように思う。

ストーリー性の意義を否定するつもりはないけれど、時々はこういう映画を見て、ストーリーというレールから脱線して人生を眺めてみるのもいい。
posted by にあごのすけ at 22:12| Comment(0) | TrackBack(2) | 映像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Weblog: ★☆ひらりん的映画ブログ☆★
Tracked: 2008-07-27 02:24

【映画】ブロークン・フラワーズ
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