2008年09月15日

I STAND HERE FOR YOU



大槻ケンヂのソロアルバム。半分カバーで半分オリジナル。

彼自らの解説本『大槻ケンヂ20年間わりと全作品』にも書いてあったが、この頃の大槻ケンヂは精神科にも通っていて、相当ウツな状態だったらしい。

その空気がもうモクモクと立ち込めてきて僕を煙に巻き、1曲目からしてもうダメである。泣けてくるのである。はたから見たら『こんなコミックソングまがいのアルバムでどうして!?』と怪訝に思われるかも知れないけれども、どうしようもないのである。

暗い歌ばかりではない、明るい曲もあるのだが、これまた「ウツ」の人特有の明るさなのである(そういうものがあるのである)。これまた僕の琴線に触れるのである。

最初にこれを聞いた人は、まるで自己啓発か何かの怪しげなCDと思うだろう。

要所要所に朗読が入っている。それも「明在系」「暗在系」だの、「死後の世界」だの、「クォーク」だの、ニューエイジサイエンスっぽい講釈なのである(その一部は、なんと菅野美穂が朗読している)。

朗読の中にはさらに「生きていこう」という言葉がそれこそ何十回と出てくる。連呼。普通ならビビッて途中でCDを止めてしまいかねない。しかし何度も言うが僕の琴線に触れるのである。

大槻ケンヂはどうやらこのCDで、人生には生きていく価値があるんだというメッセージを伝え、苦悩している人々を救いたかったようだ。

アルバムのタイトル『I STAND HERE FOR YOU』は「オレはおまえらの味方だぜ!」という、大槻ケンヂからリスナーへのメッセージなのである。

「ウツの人間に救ってもらいたかないわっ!」と言いたいところだが、気持ちは非常によくわかる。

自分がウツの時、なぜか、同じ(と思われる)苦しみを抱えている別の人に目が言ってしまう。そして自分じゃなくてそっちの人を救いたくなってくることがある。

理由は自分でもよくわからない。

ひとつには、世界が絶望に満ち満ちているように思えてくる、そして自分が「ウツ」なのは、自分にそれを見る力があるからだ、という風に錯覚する場合がある。ならば同じ「ウツ」の人間は、共通の敵と対峙している同志に思えてくる。

あるいは、自分の苦しみを何かに役立てることによって、「自分は無駄に苦しんでるんじゃない」と思いたいのか。他人を救うことによって自分の救い方を模索したいのか。

とにかく「ウツ」な大槻ケンヂと「ウツ」な自分との不思議な共鳴を体感できるアルバムである。
posted by にあごのすけ at 16:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
いやいや、これは名盤ですよ。
涙腺があつくなるCDです。
Posted by マイト at 2009年11月13日 22:21
>マイトさん

お返事おそくなりました。

そうですなあ。泣けますなあ。。。

このアルバムが出た頃、大槻ケンヂがどこかでこんなことを書いていたのを思い出します。

「苦しみを歌っているうちはまだ苦しみ切っていない。絶望し切ったときは逆に救いの歌をつくろうとする」。
Posted by にあごのすけ at 2009年11月18日 18:39
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