2009年01月06日

アフターダーク


アフターダーク」と聞いてパソコンのスクリーンセーバーを思い浮かべる人は、かなり古参のマックユーザーであること間違いなし

今回紹介する「アフターダーク」はスクリーンセーバーではなくて、村上春樹の小説である。

各章の冒頭にアナログ時計の絵が書いてある。時計の針は深夜12時からはじまり、午前7時前で終わる。つまり、一晩のあいだに起こる出来事を、いわばリアルタイムにたどったのがこの小説である。

登場人物は少ない。ファミレスで本を読む少女、青年、少女の姉、ラブホテルの従業員、会社員、など。これらの人々の夜が微妙にからまりながらストーリーは進んでいく。

しかし驚くことに。この小説にはオチがない。ネタバレも何も、オチがないのだからバラしようがない。

ところどころに、不可思議なシーン、深読みできそうなエピソードがちりばめられているが、それらが最後のクライマックスへとつながっていくかと思いきや、結局大したことも起こらないまま話は終わってしまう。

このことについて、年上の友達に話をしたことがあった。すると意外な答えがかえってきた。

「何言ってんだ、オチもないのに読者に最後まで読ませてしまうところが村上春樹のすごいところなんだよ」

なるほど。たしかに村上春樹は、「ストーリー」ではなくて「表現」で読ませる作家であると言える。

だから彼の小説は、極端な話、最初から読む必要がない。パッと開いた途中のページ、そこから読み始めても、たちまち村上ワールドに惹き込まれてしまう。

目的と手段。小説のストーリー(とオチ)が目的ならば、それをどのように表現するかが手段だ。村上春樹は「手段」にとことんこだわった作家であると言える。

思えば人生も似たようなモンか。

もしも人生が無意味ならば。人生をどう生きるかという「手段」にこだわって、そこに意義を見出すしかない。

ひとつ格言を思いついた。

人生の目的は哲学から学べ。
人生の生き方は文学から学べ。


どんなモンでしょう。

posted by にあごのすけ at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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