2009年01月07日

金字塔



中村一義というミュージシャンはデビュー当時から名前は聞いていて、興味はあったがずっと聴いていなかった。だが最近、ある事実を知って興味が再燃した。買ってみる気になった。

彼はひきこもりだったらしい。高校を卒業して所属事務所が決まるまで2年間、そこからデビューまでさらに2年間のブランクがある。

その期間、大学進学用に貯めていたお金で機材を買って宅録をしていたらしいので、完全なひきこもりとは言えないのかもしれないが。幼い頃より家庭不和、両親と離れて祖父母の家に暮らし、ひとり部屋にこもってひたすら宅録していたようだ。

そしてようやく世に出たデビューアルバムがこの『金字塔』。その中の『犬と猫』がデビューシングル。

犬と猫
作詞作曲:中村一義


どう?
街を背に僕は行く。今じゃワイワイ出来ないんだ。
奴落とす、もう。さぁ行こう! 探そぜ、奴等・・・ねぇ。
もうだって、狭いもんなぁ。

同情で群れ成して、否で通す(ありゃ、マズイよなぁ)。
難解な、その語意に、奴等宿る。・・・んで、どう?

どう?
僕として僕は行く。僕等、問題ないんだろうな。
奴は言う、こう・・・「あぁ、ていのう」。もう、けっこう!
奴等、住む場所へ行く。全て解決させたいんだ。
僕は僕。もう、最高潮! 落とせ、あんなもんは・・・ねぇ。
インチキばっかのさぁ。

単に、皆、損で、あっさり、振り回されたんで・・・。我欲成したんだ。
歴然に、いざ、吐いて死ぬと、どう? 妙な冗談で撒いて・・・。
笑えやしないんだ。大変、もう・・・。ねぇ、どう?
こんなんで、ええんか?

調教で得た知恵で、世を焼く(僕、マズイかなぁ)。
状況が裂いた部屋に、僕は眠る・・・。みんな、どう?

どう?
のんびりと僕は行く。傷みの雨ん中で。
“痛み”なんて どう? 最近どう? あぁ・・・そう・・・。
皆、嫌う、荒野を行く。ブルースに殺されちゃうんだ。
流行りもねぇ、もう・・・。伝統、ノー。
んで、行こう! ほらボス落とせ!
そう・・・。皆、そう。同じようなもんかねぇ。
犬や猫のようにね。


そして批評家らから「10年に一人の天才」「桑田佳祐を継ぐ日本語詞の使い手」と絶賛されたらしい(以上、Wikipediaを参考)。

僕が聴いた感想を述べると、正直なところこの『金字塔』というアルバム、そこまですごいか?という疑問は感じる。

でもこの『犬と猫』は別格である。何度も聴いてしまう。でも「好きだから聴く」というのとはちょっとちがう。なんだか気味悪いのである。何度聴いても「??」という気持ち悪さが残る。だから何度も聴いてしまう。質の悪い麻薬とでも言おうか。

歌詞からして不気味である。意味がわからない。唯一判明しているのは、『状況が裂いた部屋』という言葉が自分の宅録の部屋を指しているということだけ。彼はほとんどひとりきりでこの曲とアルバムをつくった。

だがものすごい気迫は感じる。いや、殺気、狂気とでも言うべきか。歌詞中の『奴等』『僕等』が誰を指すのかはわからないが、なんだかひとり部屋にこもって、架空の仲間と共に妄想上の敵と戦っているようなイメージを受ける。

この歌詞、例えるなら、捕まった猟奇殺人犯が持っていたノートとかに書いてありそうな文章だ。

「容疑者のノートにはこのようなわけのわからない文章が綴られていました」

それでこの歌詞が出てきたら、僕はきっと妙に納得してしまうだろう。

中村一義は、デビューできなかったら自殺しようと心に決めていたらしい。

それだけ怨念が込められた曲ということか。

posted by にあごのすけ at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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