2009年01月25日

パキシル・トレドミン考

パキシルは本当によく効く薬である。

僕の場合、最初は1日10mgから始まった。その後徐々に増量し、一時は1日50mgにまでなった。

パキシルの正式な添付文書によると、うつ病の場合1日MAX40mgまでとある。50mgは飲みすぎではないかと思うが、医者の判断だからそれでよしとしよう。

パキシルは正式名称パロキセチンと言い、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の一種である。むずかしい話は抜きにして、ここにあるFLASHをみてもらうのが一番わかりやすい。

《SSRI作用のしくみ》

ごていねいにも、発売元グラクソ・スミスクライン社が作った動画である。

うつ病は、脳神経間を流れる伝達物質セロトニンの減少が原因であるとされている。セロトニンの流れが悪くなることによってうつ病が起こる(とされている)。

脳神経には、伝達物質の「出口」「入口」の他に「再取り込み口」がある。言ってみれば返品窓口のようなものである。

パキシルが何をするかというと、この再取り込み口に栓をする。結果、いったん放出したセロトニンは返品不可となり、強引に出荷先の神経が受け取らざるをえない状況にしてしまう。こうしてセロトニンの流れをよくするのだ。

・・・・・・というのが、僕がいろんなところで調べて理解した話。

前提として僕の場合について話すが(薬の効き方には個人差があります)、飲んですぐは「効いてる!」という実感はない。

だが1ヶ月2ヶ月、飲み続けているうちに、自分の中で何かが明らかに変わっていることに気づく。

不安を感じなくなる。正確に言うと、不安を不安と感じなくなる。

不安要因が心の中に眠っているのは感じる。だがたとえるならば、パキシルはそれにフタをして、見えないようにしてしまう。あるいは、不安はあるのに、それが自分から遠ざけられて手が届かなくなる。そんな感じである。

非常に強引な力で不安から目をそらさせてしまう。これがパキシルのすごいところでもあり、恐ろしいところでもある。

そしてパキシルは同時に、自分の中から「欲」も消してしまう。

まず性欲がなくなる。これは非常に爽快なことである。なぜなら、健全な男という生き物は、多かれ少なかれ、常に「女」が頭にあるから。かなり極端な言い方だが、頭の中は女のことだらけ、いつもモンモンとしている(僕だけか)? これが無くなるのだから非常に穏やかな気持ちとなる。悟りの境地に近い。

何かにつけて、やる気もなくなる。しかし無気力ともちがう。仕事にしろ何にしろ、普通に参加することはできる。しかし「さあやるぞ!」と意欲的に参加しているわけではない。なんだか機械的に、言われるままにやっている感じ

僕の結論を言うと、パキシルは「非常によく効く」薬ではあるが「できれば飲みたくない」薬である。

思うに、人間にとって「不安(不満)」と「やる気」はセットになっているのではないか。コインのうらおもてのように。

不安を感じるからそれを解決しよう、そこから脱しようとする。不満や欲があるから、それを満たそうとする。

安直な例だが、「女にモテない」→「もっと女の子から注目されたい」→「仕事がバリバリできる男になってやる」→「さあがんばるぞ!」というふうに。

不安というのは、肥大すればうつ病になってしまうが、人間にとってほどほどに必要な感情のひとつなのかもしれない。

パキシルは自分の不安をはるか遠いところまで遠ざけてくれる代わりに、生きる意欲まで奪ってしまうような気がする。

実際、近年になっていろいろ問題が取りざたされている。

ひとつは、小児・青年の場合、パキシルを服用することによって自殺のリスクが返って高まるという報告だ。

《厚生労働省サイト(PDF)》

これは先述の、「不安と同時に欲もなくなる」が関係しているのかもしれない。

もうひとつの問題は、離脱症状(禁断症状)が強くて、非常にやめにくい薬だということ。

《医薬品医療機器総合機構サイト:「塩酸パロキセチン水和物」の項を参照》

僕の経験だが、通院していた病院が突然休診になってしまい(以前の記事を参照)、パキシルを5日ほど切らしたことがある。

変化は翌日から現れた。

まず、手足がしびれてくる。そのうち、しびれは全身に回る。継続的なしびれではなく、何かをした拍子に、電気ショックのような激しいしびれが全身を「ビリビリビリッ」と貫く。頻度はだんだん増していき、10秒に1度とかこの「ビリビリ」に襲われるのでたまったもんじゃない。

そしてなんだか頭が締めつけられるような感覚に襲われる。頭痛ではないが、まるで孫悟空の輪っかを頭にはめられたような気分。そのうち、ジャンボ機に乗ったときのような、奇妙な耳鳴りがしてくる(この2大症状を俗に「シャンビリ」と言う)。

離脱症状は精神面にも現れる。強烈な不安、突然号泣したりとたいへんである。

ついには、しびれと不安が強いあまりに、歩くことすらままならなくなって、タクシーで救急病院まで行ってパキシルをもらうハメになった

その後病院を代わり、医者の判断もあってパキシルをやめることにした

50mgから20mgへはけっこうすんなり減らせた。そこからが大変だった。「牛歩」のようである。10mgにしたらひどい離脱症状が出たので15mgにしてもらい。次は10mgを半分に割ってもらって、ちょっとずつちょっとずつ、最後は半分の5mgを1日おきに飲み・・・・・・というふうにして、3、4ヶ月かけてようやくやめることができた。

パキシルの暗黒面は、アメリカでは社会問題として大きく取り上げられているようだ。グラクソ・スミスクライン社がこうした悪影響を事前に知っていたにも関わらず、薬を売り続けていた、というニュース。


僕はパキシルは完全にやめた。現在はトレドミン(SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)を飲んでいる。セロトニンのみならず、「やる気」を起こさせるノルアドレナリンの神経流通も促す薬だ。

正直なところ、あまり効いている気がしない。不安はおさまらない。「不安」はあえて限界ギリギリのところでわざと残されているようにも感じる。

しかし何度も言っているが、「不安」と「意欲」とが表裏一体なのだとしたら。これは自分で乗り越えざるを得ないということなのだろうか。

posted by にあごのすけ at 18:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 精神 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

Noyさんのトラックバック先からたどり着きました。
最近パキシルが4錠になり、トレドミンも昼2錠、夜2錠飲んでいます。
パキシルについて、心配になってきました。
余裕のある時にでも、このページの記事をトラックバックしていただけませんでしょうか?
私は、トラックバックのマナーなど、あまり分からなく、失礼でしたらお許しください。
Posted by そら at 2009年07月03日 11:17
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