2009年02月03日

思い出トランプ



なんの予備知識もなくこの本を読んだ。

向田邦子と言えば脚本家。飛行機事故で亡くなった。・・・・・・それくらいの知識しかなかった。

だがあるとき、

「向田邦子はいいぞー」

薦められるまま買ったのがこの本だ。

読んで戦慄した。そして思った。

この人は、女の心理について知り尽くしているか、男の心理について知り尽くしているか。ふたつにひとつだ。向田邦子の経歴は知らないが、そうとしか思えないのである。

短編集である。主に中年から初老期にかけての、恋愛と夫婦関係がテーマになっている。でもそこに描かれているのは、決して幸福なラブストーリーではない。

人生は小さな幸せで満ちあふれている、のかもしれない。しかし同時に人生は、小さな不幸が満ち満ちているのである。

いや、「不幸」という言葉では足りない。人生に一瞬「地獄」を見る瞬間。「魔」が忍び寄る瞬間。

向田邦子はそれを直視する。いやというほど克明に描写する。

うつ気味のときに読むにはあまりにも重たすぎる本である。

向田邦子の洞察力、というか、人生の「地獄」を直視する勇気と忍耐力に僕は感服する。

そう、ある意味、この世はまさに生き地獄。

だがそこに、かすかな光が射すこともある。向田邦子は一部の短編ではそれも描いている。

人間は結局、その暗雲のすきまから射しこむ細い光をたよりに生きていくしかないのかもしれない。

posted by にあごのすけ at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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