2009年05月04日

GOTTA!忌野清志郎



1989年出版? 忌野清志郎の、出生から80年代末までをたどった、インタビューに基づくドキュメンタリー。Amazonを見るとユーズドが数冊出回っているだけで、いまは絶版のようだ。

僕とこの本との出会いは本当に偶然で、10年以上前、普通電車で日本全国をまわる旅をしていたとき、たまたま寄った東京神保町の古本屋で見つけた。ひまつぶしにと軽い気持ちで買ったのである。

だが内容はかなり赤裸々である。

自分や養子だったこと、RC結成のいきさつ、デビューから売れるまでの苦しみや葛藤、バンド仲間の死、奥さんとの出会いまで、かなりあけっぴろげに語っている。

テレビで見る、ライブを離れてインタビューに答えているときの清志郎は無口で照れ屋で人見知りが激しそうなイメージである。そんな彼から、よくもここまで話を引き出せたと思う。

他の文献をあたったわけではないが、おそらくはここまで具体的に彼のナマの姿がわかる本はないのではなかろうか。

嘘くさいサクセスストーリーにはなってない。自分の過去の体験に対して、その場その場で感じたことを淡々と語っている。彼の発言からは、反骨精神は感じられるが、必要以上にカッコつけたりしない。ひょうひょうとしている。

これは彼の楽曲からも感じることだが、彼は自分の感じたことや体験を物語化しない。インプットに意図的なフィルターをかけずに、すなおにそのままアウトプットとして出している感じだ。

自分を物語にはめ込まないから、その時々によって歌う内容の方向性もメッセージもちがう。

「忌野清志郎は常に新しいことに挑戦し続けた」

そうコメントしていたテレビ番組があったが、それはちょっとちがうと思う。ただ「今」の自分の感情や気持ちをすなおに吐き出していただけだ。

だから過去の自分とつじつまを合わせるようなこともしないし、言い訳もしない。それがハタから見れば「常に過去の自分を破壊し挑戦し続ける」ように映ったのかもしれないが、彼自身はそんなことまったく考えていなかったのではと思う。

先日の記事で『世間知らず』という曲を紹介したが、以上を踏まえると別の解釈もできる。

世間知らず

詞曲 忌野清志郎


苦労なんか知らない 恐いものもない
あんまり大事なものもない そんなぼくなのさ

世間知らずと笑われ 君は若いよとあしらわれ
だけど今も夢を見てる そんなぼくなのさ

部屋の中で 今はもう慣れた
一人きりで ボンヤリ外をながめてるだけ

世間知らずと笑われ 礼儀知らずとつまはじき
今さら外には出たくない 誰かが迎えにきても

部屋の中で 今はもう慣れた
一人きりで ボンヤリ外をながめてるだけ

苦労なんか知らない 恐いものもない
世間知らず何も知らず 夢をまだ見てる
そんなぼくなのさ そんなぼくなのさ


これはひきこもり体験を歌った曲なんじゃなく、彼の創作のスタンスを歌ったものなんじゃないか。

世の中のことなんかよくしらないし、何を言われても気にしない。ただ僕は「ぼく」の中にひきこもって夢をみている。ずっと「ぼく」の立場から歌を歌っている。

そんな彼の思いが聞こえてきそうだ。たしかに、創作者というものは常に孤独である

彼は実際は音楽シーンを走り続けていたし、家族や仲間にも恵まれていた。だが人間は根源的にはひとりきりであり、どこまで行っても「孤独」な存在である。彼はそれをよくわかっていた。そんな気がしてならない。

【おまけ】

ほんとに個人的な追記です(汗)。

僕はさだまさし好きでもあるのだが。今回紹介した本の中で、忌野清志郎がさだまさしについて言及している箇所がある。

「さだまさしはすごい才能がある。あんな歌オレにはつくれない。そもそもつくろうとも思わないけど」

正確ではないが、たしかそんなことを語っていた。僕が聴いている音楽というのはとにかくジャンルがバラバラなのだが、実はどっかでつながっている。そう思って妙に納得した次第。
posted by にあごのすけ at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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